人を魅了する豪華絢爛な建築 日光東照宮 陽明門

豪華絢爛。

この言葉がこれほど相応しい建築は、日光東照宮の「陽明門」をおいて他にないでしょう。

そして陽明門に秘められたロマンあふれる謎や物語の数々。
知ればあなたも陽明門に魅了されてしまうかもしれません。

日光東照宮 陽明門(国宝)

陽明門は、徳川家康を神格化した「東照大権現」を祀る日光東照宮の正門。

1617年に徳川秀忠によって創建され、1636年に徳川家光が家康の21回忌に合わせて建て替えを行い、今日の豪華絢爛な姿となりました。

1999年に日光東照宮が世界遺産に指定され、世界中からたくさんの観光客が訪れています。

平成の大修理

陽明門は、2013年から2017年までの4年間「平成の大修理」とよばれる大規模な修復作業が行われ、前回の改修が完了した1973年より実に40年ぶりに本来の美しい姿に修復されました。

平成の大修理に使われた金箔は約24万枚。
この枚数は京都の金閣寺の約20万枚を上回っているそうです。

金閣寺のアイデンティティが危機に瀕している。

荘厳にして壮麗な佇まい

陽明門を目前にすると、その荘厳で壮麗な佇まいに圧倒されます。

荘厳。豪奢。壮麗。豪華。華美。

陽明門を形容する言葉は多いですが、言葉では表現できない感覚をおぼえます。

金箔の煌金、黒漆の漆黒、瑚粉塗りの純白。

陽明門の極彩色が織りなす美しさを前に、「麗しい」とはこういうことなのだと腑に落ちました。

華美で壮麗な屋根

陽明門の一番の見所といえば、彫刻や絵などの華美な装飾に彩られた屋根部分。

大きく迫り出すような曲線美のある軒先が印象的です。

どこかコミカルさを感じさせる鬼瓦。

神格化された徳川家康を意味する「東照大権現」と書かれた額があるほうが門の正面側です。

神獣や霊獣、聖人の彫刻

陽明門は、神獣や霊獣、中国の故事逸話の聖人や賢人をかたどった508体もの精巧な彫刻で彩られています。

屋根の中ほどの白塗りの箇所にある彫刻は、龍のようにみえますが「息」という龍とは別の霊獣なのだそう。

門を守る武将像の謎

陽明門の両脇に設置された武将の随身像。

この随身像の袴に施された家紋が、徳川家の「葵紋」ではなく、織田家の「木瓜」や明智家の「桔梗」に似ていることから、徳川家の相談役だった明智光秀を模した像ではないかといわれているそうです。

しかし歴史からすると織田信長を討った明智光秀は逆賊なはず。
それを徳川家康の霊廟たる日光東照宮の陽明門に、というのはどうなのでしょう。

他にもこの随身像は徳川家康の干支である「虎」を尻に敷いているのが不自然らしく、多くの謎に包まれているそうです。

昇り龍と降り龍の天井画

陽明門をくぐる際は通路の天井にも注目しましょう。

陽明門の通路天井には、狩野探幽作の昇り龍(八方睨みの龍)と、降り龍(四方睨みの龍)が描かれています。

行きに陽明門を通ったときは、眼前の本殿に目がいってしまい天井画に気がつきませんでした。

帰りに気がついたからよかったものの、危うく見落としてしまうところでした。

魔除けの逆柱に隠された意味

陽明門の本殿側(裏側)には「魔除けの逆柱」とよばれる柱があります。

陽明門を支える柱には「グリ紋」とよばれる渦巻状の紋様が刻まれていますが、魔除けの逆柱だけは紋様が逆向きに刻まれています。

これは「満つれば欠ける」という諺にならったもので、完成は崩壊のはじまりを意味することから、あえて不完全な未完成状態にしてあるそう。
陽明門はまだ完成していないのです。

ちなみに、陽明門の柱などの純白部分には「糊粉」という貝の粉を原料とした塗料が使われています。

北極星と江戸を結ぶパワースポット

陽明門と本殿を結ぶ線の頭上には、ちょうど北極星が位置します。

当時は、北極星を中心に星が回る = 世の中心、と考えられていたのでしょうか。

さらに陽明門から手前にある「青銅の鳥居」を結ぶ直線の先には江戸がくるように設計されています。

北極星と江戸を繋ぐ線上にパワースポットがあるそうですが、それを知ったのは帰ってきてからのこと。

「日暮門」を身をもって知る

陽明門は朝から晩まで見ていても飽きないことから別名「日暮門」とよばれています。

いざ陽明門を目の前にするとその別名の意味がよくわかります。

日光東照宮の門が閉じられてしまうまで見入ってしまいました。

日中は人通りが絶えない陽明門ですが、拝観時間の終了直前になるとこんな写真を撮ることもできます。

この瞬間「陽明門の煌めきは自分のためだけにある!」と、ひとり悦にひたるのもまた贅沢。


昨年、平成の大修理という大規模な改修を終えたばかりだったので、艷やかな金箔と黒漆、鮮やかな純白に彩られた見事な陽明門を見ることができました。

建築と彩色、彫刻や絵の技芸の粋、贅の限りを尽くして造られた陽明門。

「日光をみずして結構というなかれ」

かつて日光東照宮を見た人が美しさをそう賞賛したそうですが、きっと陽明門の門前の出来事だったのではないでしょうか。

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