見ざる言わざる聞かざる。三猿の教えとは 日光東照宮 三猿

耳、口、目を隠した猿の彫刻。

「見ざる、言わざる、聞かざる」の諺で有名な日光東照宮の「三猿」を見てきました。

三猿の場所

三猿は、日光東照宮の表門を入ってすぐ左の「神厩舎」にあります。

神厩舎とは神様に仕える馬「神馬」の馬小屋のこと。
三猿は神厩舎の欄間に飾られている彫刻です。

なぜ三猿は神厩舎に飾られているのか。

かつて猿は「馬の病気を治す」と考えられていたそうで、馬を守るために神厩舎に猿の彫刻を飾ったようです。

三猿の教え

「幼いうちは純真で影響を受けやすい。だから世の中の悪いことは見聞きせず、悪い言葉も使わせず、良いものだけを与えよ。この時期に、良いものを身に付けておけば悪いものに触れ(対し)ても正しい判断(行動)ができる。」(神厩舎前に設置されている解説文より)

日光東照宮の三猿は「子育て」に関する教えを示しているようです。

世間一般で知られている「見ざる、聞かざる、言わざる」の諺(ことわざ)の印象とは少し違うと思いませんか?

諺のほうは、幅広い年齢層が使う印象ですが、日光東照宮の三猿の教えは子育てに限定されたものです。

日光東照宮の三猿が、子育てに限定した教えを示す理由。

実は日光東照宮には三猿のほかにも猿の彫刻があることをご存知でしょうか。

神厩舎には8面の猿の彫刻が飾られており、合計16匹の猿がいます。
彫刻の一面は、猿の一生における一場面を表現しており、三猿はその中の「幼少期」を担う彫刻です。

私は実際に日光東照宮に行くまでこの事実を知りませんでした。

以下、神厩舎前に設置されている彫刻の解説文とともに一部紹介します。

最初の面は、母親が子供の未来を遥かに望んでいる場面。

枇杷(びわ)と朱色の雲が「バラ色で実り豊かな」子供の未来を暗示しています。

三猿は二番目です。三猿は幼少期の猿を示しています。

日光東照宮の三猿が子育てに限定した教えを示すとされるのは、一連の彫刻の中で三猿の位置がここに据えられたからなのでしょう。

孤独に絶えつつこれからの人生(将来)を考えている自立前の様子。

希望をもって上を見上げる青年期。「青雲の志」を抱いた若い猿と解釈されています。

徳川家康の遺訓「上を見よ、身の程を知れ」を表現しているそう。

崖からの転落を免れた状況。

左側の猿が中央の猿の背中に手を当てていることから、友達を慰めている、あるいは励ましていると考えられているそうです。

ここまで紹介した5面の彫刻以外に、3面の彫刻が神厩舎にはあります。が、写真を撮り忘れてしまいました。

三猿のある正面の彫刻ばかりを撮ってしまい、側面に描かれた3面を見落としました。無念。

これから日光東照宮に行かれる方は、神厩舎の側面もご覧になるのを忘れないようにしてください。


三猿を含む神厩舎の猿の彫刻は、陽明門と同じく2017年に修復作業を終えたばかり。まだ色鮮やかな姿を見ることができます。

場所が場所なだけに修復前は傷みが酷かったであろうことが容易に想像できます。いつかまた傷んで修復される日がやってくるのでしょう。

日光東照宮の三猿の教えは、子育て世代が心得ておきたい教訓でしたが、逆説的には「大人になってからは無理」という厳しい現実を我々に突きつけるものともいえるような。

そんな捻くれた解釈をする私は、幼少期に悪いものを見聞きしたのかな、と自分の生い立ちに思いを馳せるのでした。

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