透かし彫りが浮き彫りにしたこと 日光東照宮 東西廻廊

日光東照宮の異様さ、ここに極まれり。

見事な東西廻廊の大彫刻を見ていたら、そんなふうに思えてなりませんでした。

日光東照宮 東西廻廊

日光東照宮の東西廻廊は、陽明門から左右に伸びる朱塗の廻廊。
本殿をコの字型に囲むように築かれています。

建造当時はロの字型でしたが、地震によって一部損壊したためコの字型になったそうです。

極彩色の透かし彫り

東西廻廊には東側に16間、西側に9間の大彫刻が配されています。

彫刻は、花鳥動物の意匠が施されており、極彩色の鮮やかな色使いはまさに絢爛。
塀の朱色に、彫刻の青や緑の彩色が映えます。

ちなみに彫刻の下絵は、狩野理右衛門の作品です。

東西廻廊の彫刻には「透かし彫り」という立体的な表現技法が用いられています。

動植物が飛び出してくるような迫力は、透かし彫りによるものなのですね。

角度のないところから見ると、透かし彫りによる立体的な造形がよくわかります。

さらに驚くことに、東西回廊の彫刻はすべて一枚板から掘り出されているそうです。

常軌を逸した作品作りへの執念を感じずにはいられません。


東西廻廊の大彫刻は、花鳥動物の見事な意匠、鮮やかで美しい色使い、迫力を感じさせる立体的な表現手法、の三要素が融合した作品で見応えがありました。

彫刻を構成する一つひとつの要素がとにかく素晴らしい。
あまりの素晴らしさのに、何が素晴らしいのかわからなくなるほどです。

ここに日光東照宮の異様さがあります。

私は実際に自分の足で日光東照宮を訪れるまで、東西回廊の存在を知りませんでした。

日光東照宮といえば、陽明門、眠り猫、三猿、というイメージ。
きっと私以外にもそういう方はいらっしゃいますよね。

こんなに見事な彫刻について、まったく知らなかったという事実。

生涯において幾度となく日光東照宮の話題にふれてきましたが、この彫刻について見聞きしたことは一度もありませんでした。

もし東西廻廊の大彫刻が、日光東照宮でないところにあったとしたら、彫刻目当てにたくさんの観光客が押し寄せたことでしょう。

しかし、ここは日光東照宮。
名作揃いの日光東照宮における東西回廊の立ち位置は、低く見られてしまいがちなのです。

主犯は陽明門ですよね。

東西廻廊の中心に位置する陽明門の煌びやかな輝きに、人は魅了されてしまうのです。

逆に、こんなに素晴らしい東西廻廊の彫刻群に囲まれても存在感を失わぬ陽明門の凄まじさ。神がかっているにも程がある。

なるほど、そんな陽明門に負けない廻廊を作るとなると、東西廻廊の彫刻は必然的にハイレベルにならざるを得なかったのですね。
職人たちの悲鳴が聞こえてきそうです。えー、陽明門に負けない彫刻なんて冗談キツイっすよー、ハハハ、まじで?

日光東照宮では、東西回廊の彫刻のほかにも、陽明門、眠り猫、三猿の被害にあわれている芸術の方々がいらっしゃることでしょう。不憫。

日光東照宮 東西回廊の大彫刻。
極彩色の透かし彫りは、日光東照宮の闇を浮き彫りにする傑作でした。

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