心願成就の紅い海 神幸祭 宝徳山稲荷大社

「必ず願いが叶う」

新潟県長岡市の「宝徳山稲荷大社」で行われる「神幸祭」。
このお祭りでは願い事を記した心願ローソクを奉納すると願いが必ず叶うと言います。

2019年11月2日に行われた令和になって初の神幸祭。今回はその体験記を書いてみました。交通アクセスや参拝手順、準備したほうが良いものなど、来年以降、神幸祭に参加される方の参考になれば幸いです。

宝徳山稲荷大社 神幸祭

宝徳山稲荷大社(寳徳山稲荷大社)は、新潟県長岡市越路地区にある神社です。神社といいましたが、正しくは出雲大社と同じ「大社」で「神社」ではありません。大社と神社では参拝方法が異なるなど違いがあります。

神幸祭(よまつり)は、毎年11月2日から3日にかけて宝徳山稲荷大社で夜通し行われる祭祀です。
日本にいる八百万の神々が、11月2日の24時(11月3日の0時)に、宝徳山稲荷大社の奥宮に降臨するといわれ、神頼みをする絶好の機会となるそうです。神様との距離が近ければ願いが届きやすい、ということなのでしょう。

宝徳山稲荷大社の神幸祭は「火の鳥」が飛ぶという不思議な現象が見られることでも知られています。神々が宝徳山稲荷大社に降臨する深夜、まるでそこに神がいることを示すように火の鳥が夜空を飛びます。
にわかには信じがたい話と思いますが、私は2年連続で不思議な現象に遭遇しました。火の鳥については別記事にしています。気になる方はそちらをご覧になってください。

火の鳥7羽の編隊飛行 宝徳山稲荷大社 神幸祭

宝徳山稲荷大社 神幸祭 体験記

2019年11月2日。
令和になって初の神幸祭の日がやってきました。

昨年、はじめて神幸祭を訪れたときは、右も左もわからず真夜中の山奥で3時間近い渋滞を経験しました。22:00という遅い時間から宝徳山稲荷大社に向かったのが敗因です。

「火の鳥」撮った! 宝徳山稲荷大社 神幸祭

今年はその反省を活かし、19:00には宝徳山稲荷大社に着けるように早めに家を出ました。

昨年の様子から大渋滞すると思っていたので、車は最寄りの駐車場に駐めて、宝徳山稲荷大社まで歩いていくことに。山道を歩くこと30分。ようやく宝徳山稲荷大社に到着・・・ところが渋滞はまったく見あたりません。駐車場はまだまだ余裕たっぷりの様子。

その後わかったのですが、駐車場待ちの大渋滞が発生するのは、21:00ぐらいからです。このくらいの時間帯から「車は駐車場に入ってくるが出ていかない」という状態になります。理由は後ほど説明するローソク畑の点火や、火の鳥を待つ人が多いから。そして駐車場に空きが無くなることで車がまったく進まなくなり、山中に大渋滞ができるというわけです。

車で参拝を考えておられる方に耳寄りな情報。神幸祭に参加するために宝徳山稲荷大社を目指す場合は、地図のA〜Bのルートを使うのがオススメです。カーナビを使って宝徳山稲荷大社を目指す場合、ナビの地図データが古かったり、出発地によっては最短ルートで検索してしまうと、狭くて急坂の山道を案内してしまう可能性があります。私は昨年、それで大渋滞にハマりました。「越後岩塚駅」の近くを通るルートをナビが案内していたら山道のルートに入ってしまっています。今は広くキレイな新しい道(地図のA~Bのルート)があるので、そちらを利用するようにしましょう。

宝徳山稲荷大社に着いたら神幸祭の作法に従って参拝します。旧奥宮に設置された案内看板に手順が書いてあります・・・が、この案内看板が非常にわかりにくい。神社の催しの予定と、参拝者の動作を一緒くたに案内しているのが原因かと。見出しに番号がふられているので参拝の手順を示しているように見えるものの、実際の手順とも異なるようです。この手順に従おうとすると、「心願ローソク」を手に持ったまま旧奥宮で玉串を受け取り参拝することになります。その後も、本宮へ行ってお供物を受け取ったら帰らなけえばならないような誤解を与えています。

参拝者の行動や、この案内看板の内容をふまえて、私なりに参拝手順を整理してみると、

  1. 宝徳山稲荷大社の旧奥宮に行く
  2. 旧奥宮の入り口にて「玉串」と「御供物の引換券」を受け取る(いずれも無料)
  3. 旧奥宮に設けられた祭壇まで進み、玉串を奉納して参拝する
  4. 旧奥宮から本宮まで山道を歩いて移動する
  5. 本宮の「供物引換所」で旧奥宮で受け取った引換券を渡し供物を受け取る
  6. 再び来た山道を戻り、本宮から旧奥宮へと移動する
  7. 旧奥宮の仮授与所で心願ローソク(2,000円)を買って願い事を書く
  8. ローソク畑に移動し、空いているところに心願ローソクを設置する
  9. 点火時間になったら心願ローソクに火を灯し祈りを捧げる

これが正しい参拝手順なのかな、と。
この手順は、公式発表の手順でないことに注意してください。説明に使っている言葉も適切なものではないかもしれません。人によって心願ローソクと参拝の順番が前後していたりもします。
ちなみに「旧奥宮」と「奥宮」は別ものです。奥宮に向かえば旧奥宮はすぐ隣にありますので、迷うことはありません。

わかりにくい案内看板ですが、「必ず願いの叶う心願ローソク」という部分はとても頼もしい。必ず、と言い切るこの自信。ご利益が期待できそうです。

以下、私の経験順に参拝の様子を紹介していきます。

宝徳山稲荷大社の旧奥宮に到着した私は、旧奥宮の隣に設置された仮授与所で心願ローソクを購入します。いきなり心願ローソクを購入してしまいましたが、正しい参拝手順は旧奥宮に参拝するのが先なのかもしれません。

心願ローソクを購入した後は、仮授与所の中に設けられた机に座り、マジックで願い事を心願ローソクに書きます。マジックは用意されているので、自分で持ってくる必要はありません。

心願ローソクに書く願い事は何でもよいというわけではありません。「願い事リスト(上画像)」の中から選びます。私は「心願成就」を選びました。これが最も抽象度の高い願い事だな、と。他の願い事はすべて「心願成就」内にカテゴライズされるものばかり。これを選んでおけばどんな願い事でも間違いがありません。

「心願 心願成就 必成就」

そこはかとないラップ感。韻を踏んでしまっています。
選んだ願い事の前に「心願」、願い事の後に「必成就」と書くのが作法です。

願い事を書き終えたら、旧奥宮の隣にある「ローソク畑」といわれるローソク台に行きます。空いているところを探して心願ローソクを設置、点火時間になったらローソクに点火します。

ローソク畑は19:30ぐらいから点火がはじまります。ただし、すべてのローソク畑の点火が始まるのは22:30ぐらいからです。旧奥宮すぐ隣のローソク畑だけが早く点火されていました。早く帰らなければならない人のためなのでしょう。すべてのローソク畑に点火された壮観な光景を見たい方は、23:00ぐらいまで待つ必要があります。

心願ローソクを設置するローソク台は、高さが4段階がありますが、自分のローソクが燃え尽きるまで見届けたい方は「一番下の段」に設置されるのがオススメです。

上の段は、風が吹くと下の段のローソクの火に煽られ、熱でローソクが変形してしまいます。すると最後まで燃え尽きる前にローソク台から地面へと転がり落ちてしまいます。こうなるとご利益があるように思えないのが心情。ローソクの転落に自身の転落を重ね合わせてしまいます。
その点、一番下の段は、他の段からの炎の影響を受けることがありません。必ず最後まで燃え尽きるのを見届けることができます。

心願ローソクをローソク台に設置した後は、旧奥宮で参拝します。繰り返しになりますが、正式な手順では参拝が心願ローソクより先なのかもしれません。参拝者の行列に並ぶこと30分、旧奥宮の入り口で玉串と供物の引換券を受け取り(いずれも無料)参拝します。入り口で受け取った玉串は祭壇に奉納します。

旧奥宮で参拝を終えたら、宝徳山稲荷大社の「本宮にある供物の引換所」に向かいます。

ちなみに指の黒い汚れはマジックです。願い事を書いたあとの心願ローソクは、持ち運びに気をつけないと手が汚れます。

奥宮から本宮への道中は暗い山道。仮設の電灯があるものの足元は暗いので注意が必要です。スマホのライトなどで照らしながら歩いていくと安全です。

奥宮から10分ぐらい歩くと本宮に到着します。

厳かな雰囲気の旧奥宮とは対照的に、本宮はお祭り感というかイベント感があります。屋台が出ており、私が行ったときは歌手らしき人のライブステージが開催されていました。

供物の引換所の列に並び、旧奥宮の参拝時に受け取った「御供物の引換券」を渡して供物を受け取ります。

御神饌。中身は岩塚製菓の米菓と缶詰でした。

本宮で供物を受け取ったら、来た道を再び歩いて奥宮に戻ります。あっちで受け取り、こっちで渡して、という一連の動作がオリエンテーリングのようでちょっと楽しい。

奥宮に戻ってきた後の過ごし方は人それぞれです。
火の鳥の出現を待つ方は、奥宮の大鳥居の周辺で空を見上げ、火の鳥待ちをします。
数万本のローソクが燃える幻想的なローソク畑の光景を見たい方は、ローソク畑に向かいます。

日付が変わる頃になると火の鳥が飛びます。火の鳥が飛ぶたびに「おぉ!」と観衆がどよめき拍手が起こったり「ほら、あそこ!」という声が聞こえてきたりして非日常的な雰囲気です。神聖なお祭りにこういうのもなんですが、楽しいです。

今年は火の鳥7羽の編隊飛行が見れました。私たちはそれを見て帰りましたが、中には夜を徹して火の鳥を狙うツワモノもいらっしゃるようです。

最後に準備したほうが良いもの、気をつけることについて書いておきます。

まず「使い捨てカイロ」は必須です。11月の新潟の夜はとても冷え込みます。ローソク畑の周辺は暖かいですが、それ以外は基本的に寒いと思って間違いありません。
服装は「フードのついたアウター」を着ていくのがベストです。フードがあれば多少の雨ならしのげますし、耳を温めることができます。ついでに「マスク」もあるといいですね。マスクをしていると口周りが冷えずにすみます。フードをかぶり、マスクで顔を覆う。多少の怪しさを感じさせる出で立ちになりますが、気にしてはいけません。暖をとるのが最優先。どんなときもライフセービングが一番大事。
「懐中電灯」があると奥宮と本宮を移動するときに便利です。が、スマホのライトでも代用はできます。靴はそれなりに「歩きやすい靴」が望ましいです。
心願ローソクを奉納する場合は「マジック」を持ってくると良いかもしれません。仮授与所にマジックはたくさん用意されているのですが、時間によってはかなり混み合うためマジックの争奪戦が発生します。

神幸祭では基本的に「座る」ことができません。それは参拝の作法的な意味ではなく、単純に座ったり腰かけたりできる場所がないんです。この影響を大いに受けるのが火の鳥が飛ぶのを待つ時。長時間立ちっぱなしの状態で火の鳥を待ち続けなければなりません。気合の入っている方は、レジャーシートやアウトドア用のイスを持って来られています。その気になれば建物の基礎部分に腰掛けたりもできなくはないのですが、建物が火の鳥を見る邪魔になってしまいます。基本的には長時間立ちっぱなしになると考え、必要な方はレジャーシートなどを用意されるのがオススメです。

女性用のトイレはかなり混みます。宝徳山稲荷大社は観光施設ではないので、参拝者の数に対して十分な数のトイレがありません。長蛇の列ができますので覚悟が必要です。

以上、この記事の情報は公式発表のものではなく、私の経験談であることに注意してください。何か間違いがある可能性もありますし、来年以降は何か変更があるかもしれません。

私はまた来年も神幸祭に参加します。来年は今年撮影した火の鳥の写真を見せて、懐疑的な反応を示した人たちを引き連れての行軍となる予定です。来年は火の鳥ではなく「火の鳥を目の当たりにした人たちの反応」を撮りたいと思っています。「ええぇぇぇ!すごぃぃいい!」と叫ぶ様子が見られることでしょう。フードをかぶり、マスクをした一団がいたら、そこにきっと私はいます。

2020年の神幸祭でお会いしましょう。

火の鳥7羽の編隊飛行 宝徳山稲荷大社 神幸祭

宝徳山稲荷大社(公式HP)
宝徳山稲荷大社(Googleマップ)