弥彦神社 100年後も死んでいるワニ

弥彦神社にはワニがいます。

手水舎のすぐ隣にある絵馬殿。
その最奥、梁の上にワニは飾られています。

奉納
軍艦磐手乗組
大正十四十五年度遠洋航海記念

かすれた文字を拾い読むと、このワニは軍艦「磐手」の乗組員が、大正14〜15年度の遠洋航海の記念として奉納したものだとうかがえます。

大正14年。いまから約100年も昔のことです。

しかしいったいなぜ磐手の乗組員は、弥彦神社に「ワニ」を奉納したのでしょう。

ワニを奉納するのは一般的とはいえませんし、ワニが神社に縁ある生き物だと聞いたこともありません。

調べてみましたが、残念ながら弥彦神社のワニについて明確な情報は見つかりませんでした。

ワニを調べるうちに弥彦神社は明治時代に一度焼失していることを知りました。
いまの立派な拝殿は、大正5年に再建されたものだそうです。

ワニが奉納されたのはその10年後。
焼失の記憶もまだ新しい大正15年のこと。

きっとワニの奉納者は、弥彦神社への特別な想いを、ワニに託したのではないでしょうか。

大正時代、日本ではワニは珍しい生き物でした。
奉納されたワニを一目見ようと、再建を果たした弥彦神社には多くの人が集まったと思います。
きっと奉納者は、その様子を万感の想いで眺めていたのでしょう。

遠方への長い航海でワニを見つけたとき、奉納者は遠く離れた弥彦神社を想い、これを持ち帰り奉納しようと決めたのです。大勢の人でにぎわう弥彦神社を心に浮かべながら。

100年後も死んでいるワニのお話です。

越後一宮 彌彦神社